生野高等学校創立90周年記念式典並びに祝賀会に参加して

中学23回 伊地知 久雄

 開式に先立ち映し出されたオープニング映像、「歴史に学び、未来を語る」は大正・昭和・平成と時として苦難の中にも、輝かしい歴史を積み重ねて来た生野高校の栄光を如実に物語るものでした。懐かしい映像に接するうちに私達が在籍した時代(S17年4月〜S22年3月)のさまざまな出来事がつい数年前のことのように脳裏に蘇りました。旧校舎の全景や正門玄関の風景或いは旧講堂。当時、講堂の正面左右に掲げられていた「サンタマリア丸」の絵画と「至誠通神」の額。一つは開拓者精神を高揚するものであり、また一つは建学の精神である五綱領の最終眼目でありました。これ等の映像の一つ一つが実に懐かしく、当時を思い出させてくれるものでした。
 しかし、私達の旧制生野中学時代は軍需工場への勤労動員も含め、戦中・戦後の正に激動と波瀾の苦難の時代でもありました。特に戦中の物資不足や食料難は私達に辛い生活を強いましたが、同期の友人達の絆は強く、心は豊かでありました。
 この度、記念式典に出席し、生野高校の頼もしい多くの生徒さん達に接して思うことは、文武両道の良き伝統の学び舎で培った知恵と不屈の精神力でもって、これからの人生を、あらゆる艱難辛苦にもめげず、全力で走り続けてほしいということです。
 終わりになりましたが、この度の90周年記念事業実施にあたり、いろいろとご苦労いただきました実行委員の方々には、式典の意義深い企画の素晴らしさ及び賑々しい祝賀会、更には記念事業そのものを成功に導かれましたことに対し、改めて敬意を表すると共に一人の同窓生として、「有り難うございました」とお礼を申し上げます。

式典は在校生の初々しい司会で和やかに進行
第1部記念講演は高14期 広河隆一氏がスライドを使用し「世界を写して伝えること」と題して講演