八木 良平
2020/10/20
生野高校創立100周年、おめでとうございます。私は現在、米国ボストンにあるマサチューセッツ工科大学(MIT)で博士研究員として銅やレアメタルの製造技術についての研究を行っています。MITでは、育った環境や、学んできた学問の異なる研究者たちと共同して研究を進めています。一つの研究課題について様々な視点から意見をぶつけ合い、試行錯誤を重ねながら課題を解決していくのはとても楽しく刺激的です。理系研究者の道に進んだ私ですが、高校生の頃に一番好きだった授業は数学でも物理でもなく、現代文でした。今でもよく思い出すのは、3年生でお世話になった藤本知代子先生の授業です。藤本先生の授業では、生徒は作者の考えや教科書の挿絵の意味、作品の背景について考える時間が多く与えられ、自由に自分の考えを述べることができました。また、藤本先生は、一つの決められた答えを求めるのではなく、生徒が自分自身の意見を持つようにご指導して下さいました。先生のご指導のお蔭で、自分の意見をしっかりと述べられるようになったことは、研究者として活躍する上で非常に役に立っています。海外の学生に比べると、日本の学生はまだまだ自己主張が苦手だと感じています。在校生や今後生野高校に入学される学生の皆さんには、授業や部活動を通して、自分の考えをまとめる力、さらにそれを主張する力を是非伸ばして欲しいと願っています。
Profile
八木 良平
1990年生まれ。生野高校卒業後、大阪府立大学に進学。大学卒業後、東京大学大学院に進み、修士号・博士号(工学)を取得。現在(2019年7月)は米国マサチューセッツ工科大学(MIT)博士研究員および東京大学生産技術研究所 協力研究員。専門は、冶金学、熱力学、リサイクル工学。
▼連絡先
ryagi@mit.edu