高61期 本村 康祐

高61期

本村 康祐

-ラジオパーソナリティ-

2020/10/20

生野高校は日本有数のワンダーランドである。東大京大へ合格者を輩出する進学校ながら、コテコテの大阪風土が根付いている稀有な学校だ。頭がよくて笑いを取りにいく学生は本当に手に負えない。入学初日、初めてかけられた声は「なぁなぁ、すね毛生えてる?」という脈絡のないものであった。流石南河内、と思った。ここでの3年間に受けたいくつものカルチャーショックが、私のパーソナリティの輪郭を形成している。そのいくつかの例を挙げていきたいと思う。文化祭などの出し物を決める際、最初のクラス会は大喜利状態になる。一番印象に残っている出し物は「S君が上半身裸で、教室の真ん中で一人椅子に座っているという現代芸術」だった。S君はまんざらでもない様子だったが、もちろん担任の先生に却下された。ダイエット中だというT君は、昼になると赤本をまな板代わりにして、ブロッコリーを包丁で切ってそのまま食べていた。マヨネーズも付けないなんてストイックだと思った。ダイエットには成功したが、受験には失敗していた。また、ハイソな家庭の生徒と友達になれるのも私にとっては魅力だった。開業医のK君の家に遊びに行ったらハーゲンダッツが出てきた。うちでは風邪の日しか食べることが許されない代物だったので驚いた。勉強して自分も成り上がりたいものだとしみじみ思った。…書き出すと枚挙に暇がないし、ここには書けないエピソードも多々あるのでここで割愛する。滅茶苦茶な出来事がたくさんあったが、みんな勉強もスポーツもできて、何より人を傷つけることがあまりなかった。月並みな表現だが素敵な高校だ。文武両道を実践し、根底にコテコテの大阪風土を湛える学校は少ない。そこで得た経験を帰納法的に自らに取り込むことが「至誠」の精神だと考えている。在校生の皆様には、とにかく毎日を楽しんで悩んで生活していただきたい。きっと生野での経験が役に立ち、皆様のクリエイティブを発揮する時がくると思います。その時に何かしらで一緒に仕事ができることを楽しみにしています。


Profile
本村 康祐(もとむら こうすけ)


大阪府立生野高等学校卒業後、大阪大学経済学部を卒業。大学在学中に1609組の応募者からオーディションを突破し、2012年4月から2013年3月の1年間にわたって『本村康祐・西岡隼基のオールナイトニッポン0(ZERO)』のパーソナリティを務めた。大学卒業後、玩具メーカーのタカラトミーに入社。2014年発売のトレーディングカードゲーム「WIXOSS」のアシスタントプロデューサーを4年半務める。2018年10月現在フリーで活動中。