蝉川 夏哉
2020/10/20
生野高校創立100周年、誠におめでとうございます。高校在学中は大変に不真面目で学業よりも部活動に委員会活動にと精を出していた私のような人間がこのような祝辞を寄せるというのは面映ゆいものがあります。ラジオ部、文芸同好会、図書企画実行委員会、自治会と指折り思い出を数え上げれば限りがありません。本当に豊かで実り多い三年間を過ごさせて頂きました。ゲーテの言葉に『人間というものは、自分の欲するままにどちらに向かおうと、どんなことを企てようと、結局はいつでも、自然によってあらかじめ画された道に戻ってくる。』というよく知られた物があります。これは諦めの言葉ではなく、自身の興味の命じるままに生きても、収まるところに収まるという肯定の意味で取るとよいように思います。日々原稿と向き合っていると、ライトノベル作家として口に糊することができているのは、生野高校時代に恩師と畏友から受けた薫陶と、自分の播いた様々な種の芽吹きによって助けられていると感じることが少なくありません。学び、習い、遊び、休み、全ての中に秘密は隠されています。弛まずに生きることは難しいですが、後輩諸氏には、若い活力で様々なものに触れ、愉しみ、将来の可能性を拡げて頂きたいものです。同窓の先輩諸兄諸姉、同輩の仲間たち、後輩諸氏の皆様の健康と益々の御清栄と母校の発展とを祈念致し、お祝いの挨拶とさせて頂きます。
Profile
蝉川 夏哉
学生時代のアルバイトがキッカケで、エンターテイメントによる街の活性化に興味を持ち、米ニューヨークに留学。イベント関連の企業にてインターンを経験。その後、世界20ヵ国30都市を周る世界一周の旅を敢行。
大阪府堺市出身、大阪市立大学文学部卒。小説投稿サイト「小説家になろう」に作品を投稿し、2012年にデビュー。『異世界居酒屋「のぶ」』が第2回「なろうコン大賞」を受賞。同作はアニメ化され全世界同時配信。