高53期 櫻井 悟史

高53期

櫻井 悟史

-立命館大学生存学研究センター専門研究員-

2020/10/20

生野高校創立100周年、おめでとうございます。53期生である私は、80周年のときに高校2年生でした。それから10年後の90周年のときには、「卒業生の1日体験」という企画で、1日だけ生野高校生に戻るという経験をさせてもらい、10年という月日を実感しました(そのときのことは、生野高校『九十年史』に書きました)。たとえば、私が在学していたときには理不尽にくっついていた机とイスが分離しており、そのことに感動を覚えたりしました。それからさらに10年が経ち、生野高校はどんなふうに変わったのでしょうか、あるいは変わっていないのでしょうか。私は現在、立命館大学生存学研究センターというところで専門研究員として働きつつ、いろいろな大学で非常勤講師をしております。つまり、研究者としての道を歩んでいるところです。専門は、歴史社会学、犯罪社会学という分野で、主に日本の死刑についての歴史研究をしております。生野高校での3年間は、現在の私の仕事に大きく影響しています。死刑というテーマについていえば、授業内で行った討論会でのやりとりは、博士論文を書きあげるまで、常に念頭にありました。また、私は、生野高校文芸部の3代目部長として、たくさんの文章を書きました(3年間で書いた文字数は、博士論文より多いかもしれません)。その経験は、論文や本を書いたり、指導したりするときに、間違いなく活きています。さらに、非常勤講師として大勢の前で授業をするにあたっては、応援団で鍛えた声が役に立っています。こんなふうに高校での経験が活きてくるとは、当時は思いもしませんでした。人生、何がどんな形でつながるのかわかりません。生野高校ではいろいろな体験をさせてもらい、いろいろな人に出会わせてもらいました。これからもいろいろな可能性を育んでいく高校であってほしいと願っています。


Profile
櫻井 悟史


1982年生まれ。生野高校卒業後、立命館大学に進学。
立命館大学大学院先端総合学術研究科修了。
2013年、博士(学術)取得。2018年現在、立命館大学生存学研究センター・専門研究員。
立命館大学、龍谷大学、甲南大学、京都精華大学、大阪府立大学大学院で非常勤講師。
主な著書に『死刑執行人の日本史―歴史社会学からの接近』(青弓社)。
論文に「死刑制度合憲判決の「時代と環境」1948年の「残虐」観」(『犯罪社会学研究』)など。