高35期 富山 昌克

高35期

富山 昌克

-園芸研究家・バイオテクニシャン-

2020/10/20

肩書きは園芸研究家。「園芸などを研究して、仕事になるの?」と思われている方がいるに違いない。そう、あくまでもマスコミ用の肩書き。NHKでつけられた、無難な肩書き(笑)。テレビに出演するようになってもう30年になる。NHK『趣味の園芸』、SUN-TV『手づくり花づくりプラス』などに定期的に出演させて頂いている。いつしか 『トミー』という芸名までつけて頂けた。なんでこんな稀有な人生を送るはめになったのかというと、父が世界中の様々なラン科植物を輸入販売していたこともあり、長男ということで中学の段階で進路の大学が決められていた。これまた特殊な『園芸学部』。関西人にとって「えんげいがくぶ」って、『演芸学部』としか連想できない。農学部ではなく、園芸学部。花を中心に農業全般を学ぶのだ。近年、世間を騒がせてきた技術にiPS細胞というようなクローン技術があるが、植物の世界では半世紀も前からすでにフランスで開発され、アメリカなどで実用化されてきた。園芸業界ではクローン苗(メリクロン苗ともいう)が普通に販売されているのだ。そう、半世紀前に開発された新技術により、当時、投機目的であったラン科植物の価格が軒並み値下がりしたことがあった。父は西洋のクローン技術をなにがなんでも学ばせたかったようで、生野高校の頃から、植物の細胞融合技術、遺伝子組み換え技術などの話を毎日聴かされていた。よくグレなかったものだ。当時の生野高校の友達に感謝。そんなこともあって、生野高校→千葉大学→ハワイ大学とずっと植物バイオテクノロジーを学ぶ生活をおくることになった。高校時代は、文化祭のときにバンドを組んで騒いだりして、ちゃんと勉強していた記憶がない。当然、成績もパッとしなかったのだが、なぜか大学からは真面目に勉強するようになった。やはり生野高校の同級生の真面目な姿に影響されていたのだろう。その後は白衣に身を包み、クリーンベンチ内で実体顕微鏡を覗き、外科用メスとピンセットで、植物の0.1mmほどの頂端分裂組織を摘出していた日々だった。著書や共著書も現在16冊になり、2年に1冊は出版したいという目標を掲げ、今ももがき楽しんでいる。バイオの専門書や園芸書をコツコツと出版していくと、マスコミからお声がかかる。そんなややこしいことを本に纏められるのだから、テレビで簡単に喋れるでしょ?とお誘いがやってくるのだ。局からの台本通りに話をすれば無難に終われるのだが、関西人気質で、どうせなら面白くしたいと思ってしまう。教育テレビ(今はEテレだが)の番組で、オヤジギャクを言い続けてきた。当然、ディレクターからお叱りを受けたこともあったが、社会に迷惑をかけないレベルを必死に考えた。今では言っていい空気かどうか、感じとれるようになった(笑)。創り上げたキャラクターはどこにでもいる花好きオジサンであるが、いつも真剣だ。どうすれば伝わるか?試行錯誤を重ねている。ふざけている様でふざけていないキャラを立ち上げてきた。今振り返ると、こんな風に関西人の面白味を忘れることなく、ここまでやってこられたのも生野高校での教えが大きく影響していると思う。校訓の響きがずっと好きだった。『剛健・質実・自重・自治・至誠』という五綱領の教えを胸に刻みながら、これからも我が道を突き進んで行こうと思う。


Profile
富山 昌克


富山昌克オフィス & メリクロンアーツ & 奈良農場 代表。
大阪動植物海洋専門学校 学校長。
園芸教育、ガーデニングの普及活動や講演などで全国各地で活躍中。著書多数。

▼現在の仕事と過去の実績
http://www.tommy78stella.com/work.htm