高32期 豊島 浩二

高32期

豊島 浩二

-プリウス&プリウスPHV開発責任者-

2020/10/20

生野高校創立100周年、誠におめでとうございます。言うまでもなく、この100年の間に私自身が関わったのはたった3年間です。ブラスバンド部で毎日チューバを吹き、河内長野から松原までの電車内40分の試験勉強に赤点回避を賭け、空腹や睡魔やすきま風の寒さと闘いながら授業を受ける、というありふれた3年間だったかもしれません。しかし私はこれを書きながら、生野高校の100年をつないできた多くの仲間のうちの一人であるという感慨を改めて深く感じています。それは、ちょうど数日前にプリウスが20周年を迎えたことと重なるからでもあります。「21世紀に間に合いました」というキャッチフレーズで登場し、日本の車社会を変えたプリウスは、世界初のハイブリッド車で燃費が当時の車の倍という華々しい性能を引っ提げてのデビューでしたが、当初は走行途中で走れなくなるなど、まだまだ完成されたものではありませんでした。販売台数も7年で10万台程度。普通であればそこで終わってしまうクルマです。しかし「至誠天に通じる」(至誠神通)=真心をもって事に当たればいつかは認められる、という生野高校の精神と同じく、プリウスの開発も真心をもってチャレンジを続けてきました。その中で。私自身も4代目プリウス(現在)とプリウスPHVの開発責任者として、どうにかその絆をつないで来ることができました。 プリウスはまだ20年しかたっていませんが、この間に販売台数は累計約450万台、CO2の削減効果も毎年約700万トンにのぼっています。この仕事を通じて私が感じていることは、夢に愚直に向かっていけば必ず達成できるということと、それをつないでいくことでもっと大きなことが出来るということです。100年。その間に私たちがつないできたことは確実にこの社会を変えていく原動力になったと信じています。大いに夢を見て、次の世代によりよい未来がつながりますように。生野高校の益々のご発展をお祈りしております。


Profile
豊島 浩二


生年月日  1961年9月6日(乙女座  B型)
所属  トヨタ自動車株式会社  先進技術開発部EV事業企画室  チーフエンジニア
1980年  生野高校卒業(高32期) 
1981年  大阪大学工学部入学
1985年  トヨタ自動車に入社し、ボデー設計部に配属。カローラの設計室などで17年間ボデー設計に携わる。
2001年  レクサスLSの製品企画室に異動し、LS460とLS600hを担当。その後、チーフエンジニアとして欧州向け商用車を担当。
2010年  BR-EV開発室でEVの企画を開始。
2011年  次世代環境車全般を取りまとめる部署「ZF」において、3代目、4代目プリウス、プリウスPHVを担当。
2016年  社長直轄のEV事業企画室にてEV開発を担当し、現在に至る。また、クルマの地域社会への貢献のため、災害に強い地域を目指した外部電源の普及活動「SAKURAプロジェクト」を主宰している。