高17期 切池 信夫

高17期

切池 信夫

-医師-

2020/10/20

私は1962年(昭和37年)に生野高校に入学した。一学年上の知人の先輩からサッカ-部への入部の誘いもあったが、柔道部に入部した。柔道で体を鍛えて強くなりたいとの思いが強く、「姿三四郎」―小柄であるが柔道の練習を積み、大柄で屈強な人物を次々とやっつけるという物語の主人公―に憧れてのことである。私は身長170cm、体重55㎏程であったが、同学年8人の中で小柄なほうで、100㎏を超える者が2人ほどいたと思う。朝練と午後の授業が終わってからの練習がほぼ毎日続き、家に帰ったら勉強する体力、気力もなく、夕飯を食べたら眠たくなり寝るという生活が続いた。その結果筋力も技も身についていった。しかし翌年の1月頃には、朝練でスロ-プ階段を「かえる跳び」で登り降りするのがよくなかったのか、切れ痔で出血するようになった。たいしたことないと考えていたが、だんだんひどくなり、排便時にはまさに地(痔)獄の痛みが走るようになった。さらに練習しても体がでかく筋力の強い同級生に勝てるようになるとも思えず、退部を決意して主将にその意思を告げた。しかし退部を認めてくれなかった。練習も嫌になり朝練をサボるようになった。そしたら罰則として早朝に運動場のランニングを課せられたりもした。しかし退部の意思は固く、結局主将が折れて「相撲で俺を倒したら退部を認める」と提案した。3月の春休みに部員が砂場に集まり、みんなに囲まれて私と主将が相撲をとった。私が全身の力を込めて戦い勝った(後から考えると主将が負けてくれたのが正しい)。2年生には退部できたが、柔道部の仲間達からは無視される日々が続いた。私は勉強に打ち込もうとの決意を強くし、一生懸命勉強した。1年生の3学期には学年でビリの方であったが、2年、3年と成績が伸び、3年生の秋に医師への道を選択し、大阪市立大学医学部への受験を決めた。そして幸運に恵まれ、入学試験に合格した。柔道部での挫折が、負けず嫌いの私に誰にも勉強で負けたくないという気持ちを生み、それが勉強への強い意志を作り、その後の人生に大きく影響した。軽い気持ちで柔道部へ入部し、その後挫折したが、決して無駄ではなかったのだ。


Profile
切池 信夫


1965年4月大阪市立大学医学部入学
1971年3月大阪市立大学医学部卒業
1971年6月大阪市立大学附属病院  臨床研修医、研究医
1975年7月大阪市立大学  助手(神経精神医学教室)
1977年8月北野病院  精神科
1979年1月米国ネブラスカ州立大学医学部薬理学教室
1980年4月大阪市立大学  助手
1982年10月大阪市立大学  講師
1992年7月大阪市立大学  助教授
1999年5月大阪市立大学  教授
2000年4月大阪市立大学大学院医学研究科  教授
2012年4月大阪市立大学  名誉教授
1995~1997年  滋賀医科大学非常勤講師、1996年  京都府立医科大学非常勤講師、
1997年~  奈良県立医科大学非常勤講師、2001年  神戸大学医学部  非常勤講師

学会役員
日本摂食障害学会名誉会員、理事長(平成20年10月~平成26年9月)
日本精神科診断学会  名誉会員、日本産業精神保健学会  名誉会員
その他多くの学会で理事、評議員など務めた。

学会会長
2003年  第3回日本認知療法学会および第4回認知療法研修会
2004年  第24回日本精神科診断学会
2005年  第1回日本摂食障害学会
2008年  第15回日本産業精神保健学会
2009年  第22回日本総合病院精神医学会
2010年  第2回日本不安障害学会

その他
1987~1992年BiologicalPsychiatry,Reviewer
1996年2ndEatingDisordersResearchSocietyMeeting(Pittsburgh,USA) AbstractReviewCommittee
1997年14thWorldCongressonPsychosomaticMedicine, InternationalAdvisoryCommittee
2006~2008年WorldFederationofSocietyofBiologicalPsychiatry Taskforceonpsychopathology
2009~2011年WorldFederationofSocietyofBiologicalPsychiatry Taskforceoneatingdisorders

主な著書
「摂食障害-食べない、食べられない、食べたら止まらない」(医学書院、2000年、Ⅱ版2009年、)「みんなで学ぶ過食と拒食とダイエット」(星和書店、2001年)、「摂食障害  治療ガイドライン」(編著、医学書院、2003年)、「拒食症と過食症」(監修、講談社、2004年)、「TanShiZhengYanShiZhen」(監修、万巻出版公司、北京、2009年)、「摂食障害治療ガイドライン」(監修、医学書院、2012年)、「クリニックで診る摂食障害」(医学書院、2015年)「拒食症と過食症の治し方」(監修、講談社、2016年)

趣味
ギタ-、音楽鑑賞、カラオケ、麻雀、ゴルフ、読書