高15期 柴山 元彦

高15期

柴山 元彦

-自然環境研究オフィス代表 理学博士-

2020/10/20

開校100周年、おめでとうございます。このような歴史ある学び舎で学んだ(?)ことをうれしく思う。
私は在学中の3年間はブラスバンド部にいた。特に印象に残っているのは体育大会の入場行進で、全クラスが入場行進を終えるまでブラスバンド部は行進曲を休みなく吹き続けなければならなかったことだ。曲と曲の間はドラムマーチで繫ぐが、その時が休み時だ。すべてのクラスの入場が終わった時は息絶え絶えになるし、管は砂ぼこりでじゃりじゃりになる。今思えばブラスとは真鍮(黄銅)といい意味で、管楽器はこれでできている。この金属を3年持ち続けていたのだ。
 実は最近、きれいな真鍮色の黄銅鉱という鉱物を川原で見つけた。その色はまさにブラスの色である。この鉱物の色と香りに何か懐かしさを覚えるのは、はるかな昔、ブラスとのかかわりだったか、その時の高校のクラブ室のにおいかもしれない。
 地学の教員を退職して12年になるが、この間地学の一般への普及を行ってきた。川原での鉱物探し、地形観察や室内での地学講座など、年間20数回講座を行っている。日本は自然景観が美しい国であるが、自然災害の多い国でもある。災害から身を守るには自然現象のメカニズムを知っておくことが必要だ。それには地学を学ぶことがこの国では必須であると思うのだが。ブラスの色を見ていると、この道に進んだのも今思えばブラスバンドの金管を握りしめていた3年間があったのかと思い当たる。


Profile
柴山元彦(自然環境研究オフィス代表 理学博士)


大阪市立大学大学院博士課程修了。
38年間高校で地学を教える。
元大阪教育大学附属高等学校副校長。
定年後地学の普及のため「自然環境研究オフィス(NPO)」を開く。
大阪市立大学、同志社大学で非常勤講師を行う。
現在では、NHK、毎日、朝日、産経、読売などの文化センターで地学関係の講座を開講。ボランティア活動として、インドネシアの子供のための津波防災パンフを作成し、配布活動を行う。
著書は「鉱物・化石探し」(東方出版)、「海辺や川原のきれいな石の図鑑1,2」「3D地形図で歩く日本の活断層」「防災教育マニュアル」「宮沢賢治の地学教室」(いずれも創元社)など。