和田 伸也
2020/10/20
私は、20歳のころ、網膜色素変性症という眼の難病で失明しました。生野高校入学当初から視力は低く、在学中に急激に病気が進行してしまい、視力低下以外にも視野狭窄も進み、ラグビー部の部活動も２年生の秋にあきらめざるを得ない状況となりました。「なぜ自分だけが……」と悔しさだけで過ごした高校生活で、教職員や同級生の皆様に心を閉ざしたまま卒業するという形となってしまいました。あれから20余年、その間、大学進学・就職・結婚など、視覚障害を持ちながらの人生を歩むなか、さまざまな壁をその時々で一歩ずつ粘り強く乗り越えてきました。その積み重ねがあって、陸上競技で２度のパラリンピックをはじめ、12度国際大会を経験するようなアスリートへと成長しました。先日も、インドネシア2018アジアパラ競技大会に出場し、1500mと5000mの２種目で銀メダルを獲得しました。国際大会でのメダルは、金４、銀４、銅４の合計12個となりました。生野高校100周年の2020年に開催される東京パラリンピック出場を目指して、さらなる競技力向上のため、日々、全力を尽くしています。青春時代に中断せざるを得なかったスポーツを、今、その続きをさせていただけているようで、あの頃に戻ったような気分で、若い選手たちと切磋琢磨しています。ラグビー部の同期がフェイスブックで私を応援する会のサイトを運営してくれ、生野高校のOBの方々も含め多くの人たちにいつも応援していただき、大きな励みとなっています。過去は変えることはできませんが、未来は変えていける、つくりあげていける――。過去のいろんな出来事も意味あるものにしていくためには、今が大事だと常々考えています。今まで経験したことすべてを意味あることにするべく、今を全力で生きていきたいと思っています。生野高校100周年を迎えるにあたり、私も競技人生のすべてをかけてがんばっていきます!!
Profile
和田 伸也
2002年３月 関西大学大学院社会学研究課博士前期課程修了
2009年４月 日本ブラインドマラソン協会強化選手に指定
2012年９月 ロンドン・パラリンピック T11 5000m 銅メダル、T11/T12マラソン５位入賞
2014年10月 インチョン アジアパラ競技大会 T11 5000m/1500m/800m ３冠
2016年９月 リオデジャネイロ・パラリンピック 1500m/5000m/マラソン３種目入賞
2017年４月 WPAマラソンワールドカップ T11/T12 優勝
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