高47期 松島 朋宣

高47期

松島 朋宣

-フレンチレストランオーナーシェフ-

2020/10/20

在校生の皆様、卒業生の皆様、はじめまして。生野高校100周年記念にこのようにご紹介して頂けたことを心から感謝します。私の高校3年間は、色々な価値観に出会えた非常に有意義な3年間でした。私は今神戸でフランス料理のお店をしています。中学校の時に料理人になると決めていたので、高校に行ってもやはりその考えは変わらず、その当時としては変わった生徒の一人だっただろうなと思います。卒業後は大半が進学する中、なぜあえて厳しい世界に行くのかといろいろ聞かれましたが、その世界が厳しいかどうかは入ってみないとわからないというのが自身の考えでした。リスクが高いとも言われましたし、何度も再考するようにと、意外と先生方からは反対のご意見を頂く事が多かった気がします。それでもなにも迷わず、飛び込めたのは所属していた野球部の同期を含め、色々な同級生、私の考えを面白いと思ってくださった先生方が、そんな生き方もええやんって言ってくれたおかげでもあります。今の日本はとても空気感が重く、何か一つ失敗をすると、皆で総叩きをして、やれ責任がどうか?謝罪がどうかと大騒ぎになります。そんな中、若い人達に向けて挑戦しろっていうわけです。これって若い人にとって全然面白くない状況ではないのでしょうか?だって挑戦できないですやん。私は卒業後、自分の好きなように外国に行き、好きなように仕事を覚え、好きなように知識を得ているうちに、お店が出来、家族が出来、スタッフが出来ました。何も計画したわけではないです。反対に売り上げが落ちて焦る事もあり、スタッフが急にやめて困る事もあり、全く想像のできない毎日を過ごしていますよ。つまり、何事もやってみないとわからないという事なんです。一歩を踏み出さないと何も変わらない。そのうえでこれから社会に出る皆様、もうすでに社会に出ている皆様、皆で何事でもチャレンジできるような空気感を作っていかないと、次の100年は明るくないような気がします。料理を取り巻く環境の変化、生産者の生活の安定、素材の安全性、これからいろいろ考えていかなければいけないことが私には山盛りです。困ったらいつも生野の同期に連絡してヒントをもらっています。生野高校という縁を大事に、好きな事を見つけられて、好きな事をやっていけるそんな空気感を皆で作っていければと思います。これが出来れば、未来はとても楽しく幸せになると思いませんか?私はこれからも料理を通して、幸せってなんだろうを追いかけていきたいと思います。


Profile
松島朋宣(まつしまとものり)


フランス料理店オーナーシェフ
生野高校卒業後、調理専門学校を経て渡仏価値観の違いに驚いて帰国。
日本のアイデンティティーってなんだろうと疑問を持ちながら試行錯誤。
2002年に神戸で「Cuisine Franco-Japonaise  Matsushima」を独立開業。今年で18年目を迎える。
著書に「新しいフランス料理における日本食材の使い方」旭屋出版などがある。