高25期 毛受 敏浩

高25期

毛受 敏浩

-(公財)日本国際交流センター 執行理事-

2020/10/20

グローバルな視点で日本の未来を
これからの日本にとって最大の問題は人口減少です。すでに地方では限界集落化が深刻化していますが、今の人口減少は序の口に過ぎません。2020年代には減少は本格化し、20年代の10年間に620万人、2030年代になると800万人に達すると政府機関は想定しています。高校生の皆さんがこれから生きる21世紀は日本にとって人口減少の世紀となり、高齢化した状態のまま2100年には日本の人口は今の半分以下の5000万人台にまで激減します。政府は地方創生や一億総活躍の政策を打ち出してきましたが、人口減少を止めることは残念ながら不可能です。そうしたことを想定し、わたしは日本の活力を維持するために、世界から日本に貢献してくれる青年を積極的に受け入れ、高齢社会に対応していくことを提唱してきました。単一民族的な色彩の強かった日本では移民政策は長らくタブー視されてき、私の発言も厳しく批判されてきましたが、ようやく政府も方針転換をしようとしています。人口減少が日本にとっての危機であることを10年以上前から訴えてきた自分にとってはようやく社会に理解されるときがきたという気持ちです。一般の人たちよりもそのことに気づくのが早かったのは海外の人たちと交流をしていたからであり、世界から日本を見る視点を育ててきたからです。日本では長いものには巻かれろという風潮がありますが、そうした主張をしてきたのは、日本の将来への危機感と同時に、一種のパイオニア精神があったからかもしれません。生野高校の講堂に今も掲げられているサンタマリア号の絵。未知の大陸を目指すその精神が自分の心の奥底に影響していたのかもしれません。日本人というアイデンティティを大切にしながら同時に世界に羽ばたいてください。みなさんは22世紀につながる時代を生きる人たちですから。視点を世界、22世紀に広げて自分の将来を構想してください。


Profile
毛受敏浩(めんじゅとしひろ)


慶応大学卒、米国エバグリーン大学公共政策大学院卒。兵庫県庁に勤務後、日本国際交流センターに勤務し現在、執行理事。「内閣官房地域魅力創造有識者会議委員」、「新宿区多文化まちづくり会議会長」などを務める。主な著書に『限界国家』『人口激減』。