中23回 佐藤 幸一(サトウサンペイ)

中23回

佐藤 幸一

-漫画家-

2020/10/20

女性を見る目がない 僕ら、一度も男女共学はない。だから女の子は夢のようなもので、美しくて眩しくてオシッコもウンコもしないと思っていた。小学校の二年生で日中戦争が始まる。六年生から太平洋戦争が始まり、生野中学に入ると、制服はその年からカーキ色の軍服になり、ゲートルを巻いた。中一の間は勉強があったが、中二からは、人手不足で畑の開墾と、防空壕掘りと、防火用貯水池掘りをした。中三で学徒動員令が下り、昼夜交替で高射砲の弾丸を作る。そして中四の八月に終戦。隣の工場には「女子挺身隊」と命名された女学生たちがいたが、遠くから見るだけで、話でもしたら停学だった。男女別学による無知のためか、生涯、女性選びを間違えた。


Profile
佐藤 幸一
(サトウサンペイ)

1929年大阪生まれ。京都工業専門学校(現・京都工芸繊維大学)卒業。大阪大丸宣伝部から漫画家に転身。代表作に『フジ三太郎』(朝日新聞)。『夕日くん』週刊朝日などの連載がある。『ドタンバのマナー』『フジ三太郎旅日記』『食べ物さん、ありがとう』(川島四郎共著)、『パソコンの「パ」の字から』など著書多数。文藝春秋漫画賞、都民文化栄誉賞、紫綬褒章、旭日小授章など受賞。昨秋からブログに「ジーの思い出し笑い」を掲載。