高28期 森口 稔

高28期

森口 稔

-辞書執筆者、大学非常勤講師-

2020/10/20

創立100周年おめでとうございます。その100年の中でも、高校28期生は珍しい存在かもしれません。というのは、我々は、約30名の定員割れという前代未聞の入試を経て入学したからです。大阪府は、前年度まで5つの学区に分かれていたのが、この年から9学区になり、受験現場は大混乱。蓋を開けてみると、我々の入試は出席さえしていれば合格という事態となったのです。そんな一風変わった雰囲気のためか、それとも、受験からの解放感のためか、生野に入ってまず感じたのは「自由」でした。その自由な空気の中で自分がやりたいことをいろいろとやってみよう。そう考えました。その中で今に繋がっているものの一つに部活動があります。始めたのは、それまで経験のなかったハンドボールとクロスカントリースキー。ハンドボールは、今も、年に一度、現役生から60台のOBまでが一同に会して交流戦を楽しんでいます。スキー部は、残念ながら、なくなってしまったようですが、私自身は30歳を過ぎてからクロスカントリーを再開し、今でも、毎年どこかの大会に出ています。生野のスキー部だったという14期生の先輩に北海道でお会いしたこともあります。高校生活はたった3年間。若い頃は、その3年を懐かしむことも特にありませんでした。それが、中年と呼ばれる年齢になり、同期会も開催されて、また「生野」を意識し始めました。仕事や趣味を通して知り合った人が生野出身だったりすると、それだけで親近感を覚え、それをきっかけに今も付き合いが続いている人もいます。生野高校の皆さん、いろんなことに挑戦してみてください。そして、生野を軸とした人間関係を大切にしてください。その2つがきっと人生を豊かにしてくれるはずです。


Profile
森口 稔


北海道大学哲学科および大阪大学美学科卒、米国Southern Polytechnic State University修士課程修了、大阪府立大学大学院博士課程単位満期退学。
大阪府立美木多高校英語教諭、The East英文雑誌記者、シャープ株式会社機械翻訳開発およびパソコン取扱説明書担当、フリーランステクニカルライター&実務翻訳者、広島国際大学教授などを経験。
現在は、非常勤講師として生物学英語や日本語や日本文化を大学で教えながら、辞書執筆や実務翻訳などに携わる。一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会評議員。

著書:『テクニカルコミュニケーションへの招待』『基礎からわかる書く技術』(共著)他。
執筆・校閲・編纂等に関わった辞書:『英語で案内する日本の伝統・大衆文化辞典』『ジーニアス英和辞典・第5版』『三省堂国語辞典・第七版』『最新英語学・言語学用語辞典』他。