高40期 屋敷 二郎

高40期

屋敷 二郎

-一橋大学 大学院法学研究科 教授・博士(法学)-

2020/10/20

数学に打ち込んだ日々を振り返って
ふと思い立って高校の通知簿を開いてみると、高1春の実力テストは560人中387位でした。あまり自慢できる成績ではないですが、その私が学者をしているのだから、人生は分かりません。中学からずっと数学が苦手だった私は、高2になるとき何か手を打たねばと思い、それまで開きもしなかった『青チャート』を春休み中に一つ残らず解いてみたところ、急に視界が開けた思いがしました。やろうと思ったことは、出来ないかもと躊躇したりせず、思い切って取り組んでみる。そういう姿勢を身につけたのは、このときです。その後、数学が得意な友人から『大学への数学』のことを教わった私は、活躍とは無縁ながらも陸上部に所属し、睡眠時間も読書量も削りたくないなかで数学を楽しむ時間を増やそうと、効率的な時間の使い方を普段から意識するようになりました。詳細は大人の事情で割愛します(F先生の「こら屋敷、何を読んでいる」という声が耳に残ります)が、これもまた私の人生を決定づける財産となりました。いま私が研究している分野は、高校でいえば倫理・政経と世界史との学際領域で、数学の知識は必要ありません。しかし、生野高校で「数学に打ち込んだこと」は、一橋大学への進学を可能にし、そこで芽生えた「西洋法制史の研究者になりたい」という夢を現実にしてくれました。開校100周年を迎えた学び舎で、後輩の皆さんが人生の導き手となるような財産を見つけられることを願っています。


Profile
屋敷 二郎


1992年3月 一橋大学法学部卒業
1994年3月 一橋大学大学院法学研究科修士課程修了
1995年3月 ケルン大学近世私法史研究所客員研究員(〜12月)
1997年3月 一橋大学大学院法学研究科博士後期課程修了博士(法学)学位取得
1997年4月 日本学術振興会特別研究員
1997年7月 一橋大学法学部専任講師
2003年2月 一橋大学大学院法学研究科助教授
2006年4月 ベルリン・フンボルト大学客員研究員(〜2007年9月)
2007年4月 一橋大学大学院法学研究科准教授
2010年5月〜現在 一橋大学大学院法学研究科教授
2016年6月〜現在 一橋大学社会科学古典資料センター教授(兼務)

<所属学会>
法文化学会  理事(2003年〜)
日本法制史学会  理事(2016年〜)

<主な著作>
『紀律と啓蒙:フリードリヒ大王の啓蒙絶対主義』ミネルヴァ書房1999年単著
『ローマ法とヨーロッパ(ピーター・スタイン著)』ミネルヴァ書房2003年監訳書
『法の流通』慈学社2009年共編著『夫婦』国際書院2012年編著
『フリードリヒ大王:祖国と寛容』山川出版社2016年単著